こんにちは! 青沼です。今週は私の当番です。
私は国内では、キャリアコンサルタントという国家資格を持っています。
取得当時はキャリアカウンセラーと呼ばれていました。当たり前ですが、カウンセラーというだけあって、資格取得講座ではキャリアについての知識を取得し、カウンセリングのスキルを学びます。
厚労省が「キャリアコンサルタント」という名前で統一しました。
現場ではキャリアに関することを主題とし、カウンセリングスキルを駆使して相談者と信頼関係を構築し、相談者の職業キャリアの問題/発達課題を「一緒に 解決する/前進する」のが主な仕事です。
活躍の場は、ハローワークなどの公的機関、企業内から大学のキャリアセンターまで幅広くあります。また、きめ細やかな配慮や支援ができる女性は活躍しやすい職種だと思います。
私は前職(司会業)の頃から、基本フリーランスのスタイルで仕事をしていましたが、40代初めに講師業にキャリアチェンジしてから、“何か自分のキャリアの背骨となる資格が欲しい”と考えていて、流行りはじめていたキャリコンの資格取得を目指して講座を受講しました。
当時、キャリアカウンセラーという人たちは、ハローワークではなくアウトプレースメント/再就職支援の会社に多くいました。その人たちは、各自が素晴らしい学歴・職業キャリアがあるエリート集団で、私が受けた講座の講師たちはみな、大手企業出身のエリートさんばかりでした。その分、世の中の捉え方や社会に対する見方が私とは異なっていたように記憶しています。
また、受講者側も、大手企業の総務部長とか人事課長・関係者がほとんどで、やはり皆さんエリートさん。当時の私はそういう方々から「一段下に見られているような、ある種の劣等感」を抱きながら、半年以上かかる講座を一生懸命受講していました。
一方私の仕事は講師業で、話し方やマナー、傾聴スキルなどを人に指導していたのですから実技の基本は上手くでき、「あおぬまちゃん、うまいな~~~」と、当時職場で最も人の話が聞けない人種と評判のおじ様たちからは一目置かれていました(40のおばさんにちゃんづけ、今ならセクハラ~~~(笑))。
そんな私に対して、彼らも何らかの違和感はあったと思います。
しかしそうはいっても、相手を全人的に受容し、共感し、問題を一緒に解決するというような、そういう学びを訓練する仲間ですから、徐々に仲良くなり、帰りに一杯!という時もありました。
彼らと比べると知識や学力には大きな差があり、これはまずい! と必死で勉強したおかげか、なんとか1回で合格できたので、当時の学友(おじ様たち)には感謝しています。そして今でも勉強仲間として繋がっている方もいて、縁というのは不思議なものだと思います。
そこから数年の間に、キャリコン人口は一気に増えました。皆さん非常に熱心に学ばれて、多くの友人が「技能士2級/1級」などスキルアップして、現場で意気揚々とお仕事されています。
自分でも興味深いのはココからです。
そのキャリコンとしての腕をどう磨くのか……については、人さまざまなやり方があります。
資格を取るための講座ですから、試験に合格した後、個人で切磋琢磨しなければ“ただ資格を持っているだけの人”になってしまいます。勢いで取得したけど使わない人もいたことでしょう。
ですから私も、伝手を頼ってあるおじ様と出会い、彼の主催する勉強会のメンバーとなり、コロナ前の数年間は、年に3~4回は名古屋に通うということをしていました。
そのおじ様は皆から“ロビン先生”と呼ばれ慕われて、彼の主催する勉強会の会員数は優に100人を超え、2021年現在では東京や地方に姉妹グループができる勢いです。
M〇〇東海という名のその会は、10年以上の歴史を既に刻んでいて、更にどんどん広がりを見せています。ロビン先生は、その小柄な体のどこからそんな活動エネルギーが出てくるのかと思うほど、キャリアコンサルタントの後進育成に奔走する毎日を送っています。
キャリア界の大物が、ロビンさんという友達の家に訪ねてくるかの如く定例勉強会に飛び入り参加したり、びっくりするような安価な受講料で貴重な講座を提供してくださったりすることもあり、学びの品質は抜群です。そう、学びはお金儲けじゃないんだよ・・・
また、時にはサンフランシスコに後進を引き連れ、かの有名な“エドガーシャイン先生”に直接会う機会を自ら作り (私も行きました、というと業界では自慢話になるようです)、
はたまたコロナぎりぎりで、エイや~~~とフランスに行き、フランス国家レベルのキャリア支援現場の人たちと交流して、日本のキャリコンの見聞を広めたりしています(私はいけなかったけど)。
さらにさらに、技能士1級という資格をもつ人材も輩出していて、みんなの腕がぐんぐん上がっていく本物の勉強会。ここからたくさんの仲間ができ、有効な理論や概念を学ぶことができた私は幸せ者です。
というように、私の〖学びの居場所〗の1つはこのM〇〇東海にあります。今はリモートで参加するのがやっとですが、仲間はそこに居て繋がっていると感じています。
で、私はキャリコンに合格した同時期にNLP、そして少し遅れてTAに出会います。
TAを学び始めた理由の一つに、キャリコンの腕をあげるためという初期設定がありました。現場でのカウンセリング力が不足していれば、怖くて人の相談なんか受けることはできない! 頭でキャリア概論の理解をして、ちびっとだけ傾聴が上手くても、実践ではぜんぜん歯が立たない。それはどの資格を取っても同じことだと思います。
私は、キャリコンという骨格に、何か弾力のある筋肉をつけたかった。
で、TAを学ぶとすぐに「これは現場で活用できる内容ばかりだ!!」とスイッチが入り、結果としてTAに時間とお金と労力をどんどん注いでいくはめ、いや、事になるのです。
しかし、困ったことが起きてきました。
TAを学習し、日々TAを講習して知識を固め、研修室や電車の中で人を観察し、相談業務の中にTAの見立てを取り入れ……と、
私の中でどんどん「実践知」が増えてくると、キャリアコンサルタントのロールプレイング実習で、お互いが取る役割のうち、クライアント役の演技に“気分が悪くなるほど”の不一致を感じるようになり、コンサルタント役に集中できなくなるという私の中の混乱が起こり始めたのです。
これは自分でもびっくりポン! な状態でした。
例えば、クライアント役を演じるご本人のパーソナリティは、もともとCP(支配的親の自我状態)が相当高く、ACは高くない/NCが高いというようなエゴグラムの特徴を有していながら、「上司と馬が合わず悩み会社を辞めようかとうなだれている気の弱い相談者」という設定を演じなければならない。そんなクライアントとロールプレイをおこなうことを想像してみてください。
どんなに演じてもお互いが素人で即興ですから、言語と非言語は不一致になりやすく、、、
「上司とそりが合わず、毎日辛いです/涙ぐむ」という雰囲気のセリフにも関わらず、けしからん上司だ! という厳しい私(CP)が見え隠れしている、どうかしたらカウンセラーの対応にも文句をつけそうな雰囲気が漂う……そんなちぐはぐな状態で会話が進むのです。
やだ~~~こわ~~~い😢
かと思えば、恰幅も良く堂々とした態度で「今の仕事が合っていないように思うのです」と言われたって、“うっそ~~、そんなこと微塵も考えてないようにお見受けします、あなた自身……”となってこちらが混乱していく。
セリフを言っているその人自身のドライバーが見え隠れするときや、決まっているセリフのやりとりを少しでも間違った瞬間に、その人特有のOKコラルのポジションに移行する瞬間、守りに入ったり攻めてきたり……と発言が揺れ動く。(;´д`)トホホ
演じている役柄ではない、今そこに居る、その人本来の人格がふにぃ~っと現れるので、私の稚拙な観察眼であってもロールプレイング実習の妨げになることが何回かあり、ロープレが上手く進まず、実習そのものがおっくうになり、結局この段階でキャリコンの資格ステップアップ計画はあきらめてしまいました。
(決してあきらめた言い訳をしているわけではありませんよ……💦)
最近、TA関連の講座で「TAは知っているが、現場でどう使うのかが分からない」という質問や相談をよく受けます。
現場の問題対応にTAをどう活用するのか?
質問をくださること自体はうれしいことですが、私の場合は、上記の経緯でTAの継続学習を目指したわけですから、正直なところ、なぜそんなことを質問するのだろうか?? と不思議に思ってしまいます。
そういう向きの質問や相談には、私の経験ですが……と前置きをしてお話しする場合もありますが、まずは
「あなたはどう思いますか? どこで使えそうですか?」
と伺うようにしています。
また最近、TAは壮大なパズルであって、1ピースだけでも手に入れば/習得すれば、現場で使えるんですよ! と話すようにしています。
全て習得してからでないと使えないと思い込んでいる真面目な人がなんと多いことか! 恐ろしや日本の完璧主義教育……苦笑
もちろん反対に、全ピース集めても使えないコレクションの場合もあるわけですが……
こんな経験の一端から、私は「あなたの職種/職場において、どういう支援の場面で、TAのどのピースが使い勝手が良いと思うか?」について考えてもらいたくて、できるだけ自分の回答を前面に出さないようにしているわけです。
皆さんは、どうですか?
TAパズルの、どのピース🧩が好きですか?
そしてどんな場面でどんな人に、そのTAピースが適用できるでしょうか?
クライアントへの全人的受容はストローク理論で。
コミュニケーションの偏りには、機能分析やライフポジション&OKコラルを。
失敗続きの場合は、ゲーム分析やラケット感情の考察を。
働き方を見直すにはドライバー理論で。
などなど見立ての組み合わせは自由で、山盛り使えます。
夏の一夜、好きな飲み物を片手に、自分の好みのピース選びと活用を考えてみて、できれば試しに現場で使ってみてください。
使わないとすぐに錆びちゃいますから。
そして使ってみた手ごたえを、私にもぜひ教えてくださいね!
(次回は、もう一つの大切な〖学びの居場所〗についてです)