ちょうど先週9月9日・10日に
国際TA協会(以下、ITAA)の国際認定委員会
(International Board of Certification:IBOC)主催の
CTAとTSTAの試験がオンラインで行われました。
私は当日、試験官をさせて頂いたので、
どんな風にITAAの資格試験が行われるのかを
皆様にお知らせできるいい機会かなと思いつき、
今回のブログのテーマとして選びました。
今回は、試験官の視点でのお話です。
まずは、
ITAAの資格って、何?
4つの分野別資格になります。
TAをどの分野で活用(Application)するのか?で分かれます。
それら分野は、
・臨床分野 (Psychotherapy: P)
・カウンセリング分野 (Counselling: C)
・教育分野 (Education: E)
・組織分野 (Organization:O)
それぞれの分野についての紹介は今回は省きます。
複数の分野の資格を持つことも可能です。
第1段階目の資格は、
CTA(Certified Transactional Analyst)
認定トランザクショナル・アナリストという資格です。
日本では、シンプルにCTA(シー・ティー・エー)と呼ばれています。
ITAAの厳しい受験条件を経て、
筆記ならびに口頭試験に合格した者に与えられる資格です。
ITAAが定めるそれぞれの分野の能力(Competencies)を
体得しているプロフェッショナルとしてのスキルを
適切に提供できる人として承認される資格です。
CTA資格取得後、上級資格者(TSTA)からのスーパービジョンを受け、
ITAAが認める『TA101』講座(入門コース)を
提供できる有資格者「TA101インストラクター」としての活動が可能になります。
TA101インストラクターは、
TA101コース(最少14時間以上)提供後、
ITAAが認める講座修了証明証を授与できます。
国際的に通用する証明証となります。
(TA101インストラクター以外の人はTA101という名称での講座の開催、並びに修了認定もできない規定があります)
TAシュハリズム研究会代表理事の青沼真壽美さんが、
2010年8月11日にカナダ・モントリオールで
CTA試験に合格されたときのCertificateと
Eric Berneの“Certificate of Teaching Membership”
(今のTSTA資格)の写真
第2段階の資格は、
TSTA(Teaching and Supervising Transactional Analyst)という資格です。
認定Teaching と Supervising のトランザクショナル・アナリスト
文字通り、TeachingとSupervisingを教える上級資格者で、
日本では、ITAA教授会員あるいは、TSTAと呼ばれています。
CTAを育てる資格を持つ有資格者です。
上級資格者の中には、
Teachingの教授会員としてのTTA(Teaching Transactional Analyst)と、
Supervisingの教授会員としてのSTA(Supervising Transactional Analyst)があります。
PTSTA(Provisional Teaching and Supervising Transactional Analyst)
CTA資格取得後、TSTA取得をコミットした人たちは、
准教授会員、PTSTAと呼ばれています。
PTSTAになるには、CTA取得1年後から、参加可能となる3日間の
TEW(Training Endorsement Workshop)に参加し、
CTAを育てるための「カリキュラム」や
「スキル」をTEWでプレゼンテーションし、
TSTAメンバーから評価、指導、フィードバックをもらい、
PTSTA(准教授)となります。
ここから、TSTAの試験を受けるための本格的準備が始まり
CTAの育成が始まります。
以上が、ITAAの公認資格についての簡単な説明です。
資格取得ご興味・ご関心のある方は、
お近くのITAA上級資格者もしくは、
TAシュハリムズ研究会までお問い合わせください。
今回、私は第二段階目のTSTAの試験官を
させていただきました。
TSTA試験会場(オンライン)
個人によっては異なりますが、
CTA受験までに約5年
TEWを受けるまでの1年
PTSTAとなり、TSTAを受験するまで約7年
それら年数より短くなる可能性もありますが、
TSTAを目指す場合は、
TA101受講から、ほぼ13年間あるいは、
それ以上の年月をTA実践家としての実績を持つ人たちが
TSTA資格取得を目指し、準備され続け、
そのエネルギーの集大成を披露される場が
TSTA試験会場です。
今回は、9月9~11日の3日間でした。
ITAAが資格試験システムを取り入れてから50数年
第1回からこれまですべて対面で行われていたCTA/TSTA試験を
オンラインで実施するということで、
関連するシステムすべての見直しが、昨年夏以降から始まり、
今年に入り、Mock(模擬)をなんどもオンラインで行いました。
技術的なものはもちろんですが、
キーポイントの一つが、時差調整でした。
世界中から受験者(Candidate:キャンディデート)が集まり、
同じく世界中からボランティアの試験官(Exam Boards:ボード)達が
関わるイベントなので時間の調整は必須です。
例えば、
日本が午前8時だと
地球の裏側に位置するブラジルは午後8時になるわけです。
今回は、本部がイギリスだったので、イギリスでは朝6時、
対する日本は14時、当然ブラジルは、夜中の2時となります。
試験は、通常1時間を予定していますが、
通訳付きの試験だと1時間30分となり、
その前後のミーティングを考えると
さらに2~3時間を要します。
今回の試験初日9日は、
キャンディデート、ボードメンバーはもちろん、
試験を見守るオブザーバーや
キャンディデートのTeachingテストの際の受講者役(オーディエンス)、
Supervisingの際のSupervisee役の人達、
試験の運営委員など、全員が集まります。
事前ミーティングからスタートしました。
オンラインの画面上に90名近い人たちが集まります。
イギリス06:00・・・Good Morning!
日本14:00・・・・・Good Afternoon!
その他……それぞれの時間帯です(^^
圧巻!
キャンディデートはもちろん、
試験にかかわる人たちそれぞれが
その日のために準備を重ねて集まっています。
各自が異なる緊張感と共に、
また、オンライン画面上で出会った懐かしいTAの仲間たちとの再会に
喜びの笑顔が画面いっぱいに溢れました。
不思議なことに、
今まで各国で開催されていたTAカンファレンス会場で味わった
あのTA仲間との再会の感覚、一体感が
オンラインで広がっていくのが感じ取れました。
事前ミーティングから、
それぞれの役割(試験官、オーディエンス、スーパーバイジー)別で
事前確認ミーティングを行い、
〇時〇〇分になったら、本部画面(Head Quarter)から
自分の部屋(ブレイクアウトルーム〇〇)に移動するのか等、
最終確認作業を行いました。
一つ、「クリック」を間違うと、違うお部屋というか
違う世界に瞬間移動してしまうオンラインの世界。
恐怖心は、私の中につねにありました……緊張の連続でした!!!
使われる共通言語は英語です。
はい、ず~~~~っと、英語です。
これまた、気が抜けない、集中の連続です。
私が試験官をさせていただいた方は、
二日間とも中央ヨーロッパの方だったので
通訳付きの1時間30分間の試験でした。
これまた不思議なことに
今まで耳にしたことがない言語(キャンディデートの母国語)と
通訳が話す英語を交互に聞いているうちに、
英語が妙に親しみある言語に聞こえている自分に驚きました。
だからと言って、気は抜けません!
初日は、14時から始まり、
途中、10分と20分という休憩はあったのですが、
初日が終わったのは、日本時間19:30でした。
5時間半の連続集中!
終わった時は、
私の脳みそは、ぐにゃぐにゃ状態というか、
脳みそが沸騰したみたい感覚で、
もうこれ以上の刺激は不要!って感じ。 疲れ切っていました(^^
9日の夜、10日の夜両日とも11時前には就寝していました!
試験官のお仕事:
試験官のもとには、
キャンディデートが受験のために準備された
*履歴書
*推薦文
*数種類の公式書類
*Teaching用書類
*7年間の活動記録、など
A4サイズ50~80枚/一人の提出書類が送られてきます。
(それらはすべて、試験終了後破棄することになっています)
試験官は、キャンディデートが積み重ねてきた学びや成果を
誇らしくプレゼンテーションできるように導く質問を準備する。
試験官は事前にそれら書類に目を通し、
キャンディデートの7年間(人によれば10年以上)の準備の推移と、
そこからの成長、変化を読み取ります。
TAAのボードメンバーが行う質問や確認事項は、
キャンディデートが知らない、
あるいは、理解していないことを明らかにするのものではありません。
口頭試験の限られた時間内で、
キャンディデートが学び、経験してきたことを
試験官の前で、
誇らしげにプレゼンテーションできるような
質問であることが求められます。
これは、CTAの口頭試験でも同様です。
私達が今まで「試験という場面」で経験したことが無いような
受験者と試験官との間の
「I am OK-You are OK」「We are OK」のやりとりです。
それがITAAの資格試験の現場です。
でもやはり、「試験」ということで、
4名のボードメンバー(試験官)を目の前にすると
どのキャンディデートも緊張しやすい状態です。
緊張で、せっかくの今までの学びや経験を
発揮できないのはとても残念なので、
ボードメンバーは緊張をほぐすような
やりとりをすることもあります。
キャンディデートが自分自身の自我状態PACのカセクシスを
スムーズに流れる状態を維持する……I am OK-You are OKを維持する。
キャンディデートが、長い年月をかけて数々の講座や現場での学び、
経験してきた事柄を自分のリソースとして、
ボードメンバーの前でプレゼンテーションする。
そんな場をキャンディデートとボードメンバーが
ともにつくりだす、いわば共創の場が、ITAAの口頭試験です。
集中の連続でクッタクッタに疲れるのに……
最後に足しておきたいこと。
それは、私の場合、試験官をすると、
集中の連続でクッタクッタに疲れるのです。
やはり、言語の壁は大きいです。
そして、時としてとても残念な結果に終わることも経験します。
でも、また試験官をやってみたくなるのです。
それも、当たり前のように……。
なぜ?
試験官をすることで、
キャンディデートから多くを学びます。
ボードメンバーからも学びが多いです。
出会いが生まれ、再会にもつながり、
新しい進展に結びつくきっかけになることも少なくありません。
何より、一人でも多くのTA仲間が有資格者となり
世界にTAが広まることって素敵だと思っています。そして、
新しい仲間が生まれる瞬間に立ち会えるって、素敵だと思いませんか?
一人のキャンディデートが、その国の最初のCTAとなったり、
最初のTSTAになる瞬間に立ち会える瞬間は、やっぱり嬉しいですね。
皆さんの中に、
ITAA資格取得にチャレンジしたくなってくださる方がいらしたら、
Welcomeです。一緒にチャレンジしましょう!